回复:新人来报到,送上小小礼物
游戏的一部分的原文:
…… ……そしてたどり着いた場所。浩平「……」決して意識したわけではなかった。だけど、オレは吸い寄せられるようにこの場所に立っていた。浩平「……」いや、本当は自分の意志でこの場所に来たのかも知れないな…。最後の希望にすがって…。最後に、あいつに逢いたくて。もう…他人同士だと分かっているはずなのに。それなのに、オレはこの場所に立っていた。茜「……」そして、茜も…。茜「……」冷たくさめた悲しい瞳で、オレの方を見る。浩平「……」茜「……」視線だけが交錯する。浩平「…よお」確かめたかった…。浩平「…何やってんだこんな所で」茜「……」茜「…誰?」横を向いたまま、震える声で呟く茜は……泣いていた。浩平「クラスメートの名前くらい覚えとけ」オレはできるだけ優しい声で、ただ穏やかにささやいた。浩平「同じクラスの…」茜「知らないっ!」自分の元に歩み寄るオレの存在を押し返すように、声を上げる。震える声で、何かをこらえるような悲しい声で。茜「私に…何か用ですか…」浩平「茜…」茜「用が…ないのなら……」茜の小さな肩は微かに震えていた。雨に震える小動物のように、けなげにオレを見つめていた。傘をぎゅっと握りしめて…。感情を押し込めて…。あくまでも他人を装って…。オレを拒絶して…。あふれる涙を必死でこらえて…。浩平「……」涙が流れ出ると共に、押し込めていた感情が流れ出ることを恐れて。吐露した感情は、いつか自分を傷つけるものだから。浩平「……」オレは…茜のそんな姿を見ることが辛かった。そして、好きな人を苦しめている存在が、オレ自身であることにどうしようもない憤りを感じていた。浩平「分かった…」何でだろうな…。どうしてこんなことになったんだろうな…。浩平「…また人違いだったみたいだ」茜「……」流れ出る涙はもはや隠しようのないくらい溢れ出ていた。頬を伝い、降りしきる雨と共にむき出しの地面に吸い込まれる。浩平「たまたま知ってる奴と似てたんだ」茜「……」浩平「…じゃあな」茜「……」後ろを向いて、茜に背を向けて、そして歩き出す。茜「……」茜「…待って」立ち去り際、雨に濡れた背中に声がかけられる。浩平「……」オレはその場で立ち止まる。振り返ることもなく、返事を返すこともない。茜「……」数秒間の沈黙。聞こえるのは、地面を叩く強い雨音だけ。その雨音が、心なしか激しさを増したような気がした。茜「…話…しませんか…」沈黙に幕を引いたのは茜の声。表情は分からない。浩平「…話…?」振り向かず、ぽそりと聞き返す。茜「…はい」茜「もし、時間があるのなら…」茜「ほんの少しでも時間があるのなら…」浩平「……」茜「私の話につきあっていただけませんか…?」浩平「……」浩平「見ず知らずのオレでいいのか…?」茜「…はい」浩平「…いつ、居なくなるか分からないけど…」茜「…はい」浩平「……」茜「……」浩平「…それでも、いいのなら…」茜「…はい」浩平「分かった」振り返り、茜の元へと歩み寄る。茜「……」そのオレにそっと傘をさしだして迎えてくれる。浩平「…オレが持とうか」茜「…はい」ピンクの傘を受け取り、空き地の真ん中に立つ。背中越しに、冷たく濡れた服越しに、お互いの存在を感じる。空き地の真ん中で、オレと茜が出会った場所で、未だ雨の降り続ける悲しい場所で、最後の瞬間まで…。最後の、本当に最後の一瞬まで…。オレと茜は一緒にいる道を選んだ…。余計に悲しくなることを知りながら…。茜に悲しみを背負わせることを知っていながら…。オレは…やっぱり最低の男だ…。茜「…ありがとうございます」すぐ側で、茜の声。浩平「……」茜「私のわがままにつきあっていただいて」浩平「…それで、何の話をしようか?」茜「…クラスメートの話です」浩平「クラスメート?」茜「…大嫌いなクラスメートです」浩平「そうか…」茜「…はい」茜「わがままで…」茜「嘘つきで…」茜「自分勝手で…」茜「子供っぽくて…」茜「人の気持ちなんか何も考えなくて…」浩平「……」茜「それなのに…」茜「どうして…」茜「好きになっちゃったんでしょうね」浩平「……」茜「でも、もうその人は居ません」浩平「……」茜「二度と…会えません」茜「…分かっているのに」茜「理解しているはずなのに…」茜「もう、その人には会えないって分かっているはずなのに」茜「それでも…大好きで…」茜「どうしようもなく好きで…」茜「それで、こんな所に立ってて…」浩平「……」茜「…余計に悲しくなって…」茜「……」浩平「……」茜「渡したい物もあったんですけど…」浩平「渡したい物?」茜「今日、そいつの誕生日なんです」浩平「…そうか」そんなことすっかり忘れてたな…。茜「ちゃんと、プレゼントも用意したんです」浩平「…それはそいつもきっと喜ぶな…」茜「…はい」頷いて、微かに声が落ちる。茜「…でも、渡せなかった」浩平「気持ちだけでも嬉しいもんだ」茜「…でも、せっかく買ったのにもったいないです…」浩平「…確かにそうだな…」茜「…だから」茜「…これは、あなたにあげます」浩平「…いいのか、オレで」茜「…はい」茜「話を聴いて貰ったお礼です」浩平「…そうか」横から、そっと差し出された茜の手。その上に乗った小さな箱。かわいらしい包装紙に包まれて。ピンク色のリボンを丁寧に結んで。雨の滴を浴びて、ぐしゃぐしゃになってたけど…。浩平「そういうことなら、遠慮なく貰うよ」茜「…はい」ピンク色の箱を、傘を持っていない方の手で受け取る。傘の端に溜まった水滴が降り続ける雨と共に流れ落ち、ぬかるんだ地面や土色に濁った水たまりに吸い込まれる。浩平「…悪い、濡れなかったか?」茜「大丈夫です…」浩平「…そうか…」茜「…はい」浩平「…今、開けてもいいのか?」茜「…はい」オレは傘を肩にもたれさせ、両手でピンクのリボンをほどいた。雨を吸い込んでふやけた包装紙を破らないように剥がして、中の箱を取り出す。浩平「できれば、食い物がいいな」茜「…食べ物?」浩平「ああ、実はここ数日ろくに食ってないんだ」浩平「だから、食べられる物だと嬉しいな」茜「…食べられないこともないです」浩平「そうか?」茜「…ちょっと固いですけど」浩平「まあ、歯は丈夫な方だと思うけど」がさごそと、白いボール紙の箱を開け、中身を取り出す。浩平「…確かに、これはちょっと固いかも知れないな…」茜「…はい」浩平「…これ…本当に食べられるのか…?」茜「…無理をすれば」浩平「相当無理しないと駄目だな…」茜「…はい」浩平「食べていいのか?」茜「できれば、食べないでください」浩平「そうだよなぁ…」茜「…はい」浩平「そうだ、せっかくこんないい物貰ったんだから、何かお返しをしないとな」茜「…お返しなんかいいです」浩平「そうか…?」茜「…でも、どうしてもというのなら受け取ります」浩平「分かった、それなら君の誕生日に何かプレゼントする」茜「…はい」浩平「…誕生日…いつだ?」茜「私の…誕生日は…」それは幸せだった日々のかけら毎日通う学校退屈で同じことの繰り返しでも横を向くといつもその人がいた見上げるようにオレの方を向いて微かに微笑んでくれる他愛のない話くだらない冗談好きな人好きだと言える人冷たい雨の中で出会って暖かな日溜まりの中を一緒に並んで歩いたゆっくりと穏やかにそれが当たり前のようにだから失って初めて気づく雨上がりの小径(こみち)を歩くこと夕陽に照らされた商店街を歩くことそんな日常がどれだけ大切なものなのかそしてその人のことを本当に好きだったってだから最後にごめんな、茜茜「……浩平…?」背中から温もりが消えて… 茜「…嫌だよ…」支えを失った傘が、風にあおられ舞い落ちて… 茜「…嫌だよっ……浩平…っ!」誕生日プレゼントも、雨にさらされて… 茜「…どうして…」浩平の姿は、消えていた… 茜「…どうして…私を置いていくんですか…」茜「どうして…ひとりぼっちに…するんですか…」 …あのときと同じ… …あの時と、あの遠い日の… …同じ場所… …どうすることもできずに… …大切な人を失って… …最後の温もりさえも、降りしきる冷たい雨に流されて… …また同じ… ……… …でも… …あの時と一緒でもないか… …だって… …あの時よりも… …涙が…止まらないもの 雨が降っていた。そのことを知ったのは、家を出てからだった。家に引き返し、傘立てから傘を取り、再び表にでる。行き先は決まっていた。あの場所へ。浩平と別れたあの場所へ。去年のことだった。雨が降ると、私はあの人を待っていた。微かな希望にすがって、裏切られて、絶望して、それでも、今度こそはって…。その繰り返しだった。無意味に繰り返される非日常。そんなときあの空き地に現れたのが浩平だった。希望なんてないって、とっくに気づいていたはずなのに…。それでも私にはそれしかなかったから…。だけど、本当は…。誰かに止めてほしかった。もう、あの人は絶対に帰って来ないって言って欲しかった。お前のしていることは無意味だって、なじって欲しかった。だから…。 『お前は…ふられたんだ』嬉しかった…。その一言で、私は救われたんだから。そして、浩平との新しい日常。もうこの日常が壊れることはないって信じてた。だけど…。だけど私は…。またこの場所に立っている。今度は浩平を待つために。私をこの場所から引き離してくれた人の帰りを待つために。またこの場所に立っている。やっぱり私にできることはこれだけだから…。 …でも…。作業員「…悪いけど、作業の邪魔だからどっかに行ってくれないか?」作業員「ここにはな、家が建つんだよ」作業員「勿体ないだろ、これだけの土地を遊ばせて置くのも」作業員「周りの土地だって立派な家が建ってるだろ?」作業員「あれにも負けないくらいの家が建つぞ」 …私は…。 …待ち続けるための場所さえ奪われた…。今の私にできること。それはただ、静かにあいつの帰りを待つだけ…。あいつの居ない日常に再び身を投じて…。あいつの言葉を信じて…。春桜の花びらが雨にうたれて舞い落ちる。濁った空は春の訪れを拒むように、ただ冷たい雨を降り積もらせていた。夏祭り太鼓を打つ雨の滴。大勢の足跡が残る地面に、雨だけが落ちる。秋銀杏並木の回廊を、しとしとと細い線が流れる。無惨に踏みつけられた銀杏の葉を、雨が覆う。冬最初は雪。そして雨。白い地面を貫く、冷たい雫。そして…。季節は再び春。詩子「ふぁ~、いい天気だね」茜「…もうすぐ春ですから」詩子「そうだよね、もうすぐあたしたちも卒業だし」茜「…はい」詩子「これでまた新しい学校だね」茜「…はい」詩子「クラスの人たちと別れるのは寂しいけど…」詩子「でも、またどこかで逢えるからいいよね」茜「……」詩子「そうだ、瑞佳さんとか澪ちゃんとか元気にしてる?」茜「…はい」詩子「よかった…。最近会ってなかったからね」茜「みんな寂しがってました」詩子「嘘でもそう言ってくれると嬉しいなぁ」茜「…本当です」詩子「ありがとう」詩子「そういえば、瑞佳さんとは3年にあがってもまた同じクラスだったんだよね」茜「…私の学校は3年にあがるときにクラス替えないから」詩子「ないの?」茜「…ないです」詩子「そっか、何か変な学校ね」茜「…そう?」詩子「だって、新しい人がいたほうが絶対に面白いよ」茜「…はい」詩子「…でもさぁ」詩子「クラス替えがないってことは…またあいつと同じクラスだったの?」茜「……え」 …忘れたはずの名前… 詩子「…そういえばさ、ずいぶん長いことあいつの顔見ないよね」茜「…あいつ…」 …出るはずのない言葉… 詩子「そう。賑やかで、自分勝手で…」茜「……」詩子「いつも顔合わせたら私に文句ばっかり言ってたけど…」 …一緒にいたい人… 茜「…いないと…寂しい…?」 …本当に好きな人… 詩子「ううん、あたしは全然寂しくない」茜「…私は…」茜「…私は…寂しいです」詩子「…茜…?」茜「……」詩子「…茜、泣いてるの…?」茜「…はい」詩子「ど、どうしたの?」茜「…嬉しいから」茜「…約束守ってくれたから」茜「…帰ってきてくれたから」詩子「ああっ!」詩子が私の後ろを指さしながら、驚いた声を上げる。詩子「やっぱりねぇ」詩子「あいつは噂をすれば現れるようなタイプだと思ってたのよ」振り返ると、そこにあいつが立っていた。そして、ばつが悪そうに照れ笑いを浮かべながら、私に言ってくれた。「ただいま」って…。だから私も、精一杯の笑顔で…。 お帰りなさい…浩平茜「…雨、止んだみたいですね」真っ青な空から差し込む眩しい光に、嬉しそうに瞳を細める。さっきの通り雨が嘘のように澄み渡った空。浩平「虹の一つも見えればいいのにな…」飛行機雲さえない青空を見上げる。茜「それは、贅沢です」そういって彼女が微笑む。茜「雨が止んでくれただけでも嬉しいです」浩平「…そうだなぁ」茜「せっかくのお休みですから」限りある日常。だからこそ、その移り変わりは早くて…。退屈な生活は、その時々によって様々な姿を見せる…。限りあるからこそ見えるもの…。限りあるからこそ気づくもの…。そんな日常に囲まれて…。過ぎ去っていく時間の中で…。ただ精一杯…。その時々の幸せを感じながら…。茜「…確か、誕生日にお返し貰えるんですよね」一緒に歩みたい人と…。浩平「なにっ、まだ覚えてたのか…」茜「はい」浩平「そう言えばいつなんだ、茜の誕生日?」茜「今日です」浩平「なにっ、マジか」茜「はい」浩平「嘘ついてないか?」茜「ついてないです」浩平「本当か?」茜「本当です」浩平「本当に本当か?」茜「本当に本当です」浩平「うわ~、なんも用意してないぞ」茜「大丈夫です」茜「これから二人で買いに行くんですから」茜「欲しい物も決まってます」浩平「ま、まさか『あれ』か…?」茜「あれです」浩平「あれだけは勘弁してくれ~」見上げれば、どこまでも澄み渡った青空。本当に、さっきまでの大雨が嘘のように…。二人でこの小径を歩いて行く。浩平「なあ、茜。折角だから手でも繋いでみようかと思うんだが…」茜「…嫌です」どこまでも、一緒に…。茜「恥ずかしいから、嫌です」本当に好きな人と一緒に。