華厳滝 (けごんのたき)
栃木県日光市/落差96m(公称)
日光には四十八滝といわれるくらい滝が多いが、最も有名なのが華厳ノ滝である。高さ97メートルをほぼ一気に落下する豪快さと、自然が作り出す華麗な造形美の両方をあわせ持つ。和歌山県の那智ノ滝-なちのたき-、茨城県の袋田ノ滝-ふくろだのたき-とともに「日本の三大名瀑-めいばく-」とも呼ばれる。名称は涅槃ノ滝-ねはんのたき-、般若ノ滝-はんにゃのたき-などと一緒に仏典の「釈迦-しゃか-の五時教-ごじきょう-」から名づけられたらしい。
滝を間近で観覧できるようになったのは、明治33(1900)年。7年もの歳月をかけて星野五郎平-ほしのごろべい-が滝壷-たきつぼ-近くに茶屋を開いた。そして明治36(1903)年5月、18歳の旧制一高生であった藤村操-ふじむらみさお-がミズナラの木に「巌頭之感-がんとうのかん-」を書き残して投身自殺をして以来、自殺の名所にもなってしまった。堅い岩盤をくり抜いたエレベーターが営業を開始したのは昭和5(1930)年になってからである。
6月にはたくさんのイワツバメが滝周辺を飛び回る。1月から2月にかけては十二滝と呼ばれる細い小滝が凍るため、華厳滝はブルーアイスに彩られる。
なお、問い合わせが多いので、明治36年5月26日(または22日)に記した藤村操の「巌頭之感」全文を掲載しておこう。
≪悠々たる哉天壊、遼々たる哉古今、五尺の小躯を以て此大をはからむとす。ホレーショの哲学、竟に何等のオーソリチィーに値するものぞ。萬有の真相は唯一言にして 悉す。日く「不可解」。我この恨を懐いて煩悶終に死を決するに至る。既に巌頭に立つに及んで胸中何等の不安あるなし。始めて知る大なる悲観は大なる楽観に一致するを。≫
那智の滝
那智山の奥山、大雲取山から流れ出る本流に、いくつもの流れが重なり合い、ついには原生林を切り裂くように落下しているのが「那智の大滝」です。
水柱は直下133m、銚子口の幅13m、滝壺の深さは10mの日本一の名瀑で、銚子口の岩盤に三つの切れ目があって、三筋になって落下し始めるところから、「三筋の滝」ともよばれています。
その上には注連縄が張られているのを仰ぎ見ることができますが、神社(飛瀧神社)の御神体としてこの滝を崇め、毎年7月9日と12月27日の2回、古来からの神事にのっとり「御滝注連縄張替行事」が行われています。
かつて、諸国からこの滝に詣でる人々は写経を経筒に入れてお滝入口の大鳥居をくぐってすぐ左側の「那智経塚」にそれらを納めました。また、皇室の方々がお参りになると参道に記念の塔婆を建てられ、亀山上皇が弘安4年に参詣された折のものがいまも宝物殿に納められており、それを模したものを、当時の面影のまま参道に建てています。入口より御滝本までは昔のままの石畳み道が続き「鎌倉積石階段」といいます。
袋田の滝(四度の滝)
久慈川の支流・滝川にかかる落差120m、幅73mの滝。平安の歌人・西行法師が「四季に一度ずつ訪れなければ、滝の美しさを味わえない」と絶賛した逸話から、別名を四度の滝という。近年水量が少なくなっているが、4段になって落ちる姿は豪快。冬は結氷することもある。
春
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氷壁が溶け出して滝川のせせらぎが音を立てて流れ出すと、春の訪れ。新芽吹く木々の緑と清らかな水音が織りなすハーモニーをお楽しみください。
夏
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キラキラと陽光を浴びてダイナミックに踊る水しぶき。その勢いで時に鮮やかな虹を描いて、訪れる人を魅了します。
秋
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色とりどりの紅葉が渓谷を飾り、滝は鮮やかにドレスアップ。自然の手によるこの豪華な風景画に、人々はただ息を呑むばかりです
冬
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凍結した滝の神秘的な美しさをご存じですか? 季節の変化の不思議に改めて感動します。ピッケル片手の若者たちが、アイス・クライミングを楽しみつつ、氷瀑の絶壁にチャレンジする姿が見られます。